あなたへの手紙・日向真理愛

未完成の人生を生きる私が「あなたに会えてよかった。」そう手紙を書きます。

あなたへの手紙・哀しみ

こんな夜だから

季節はずれの台風の影響で

眠れぬ夜を過ごしていたら…。

どうぞ

大事に至りませんように

お見舞いします。

 

 

哀しみと出逢って

 

哀しみを見つめると幾つもの側面が見えます。

美しくカットされた宝石のように、いいえ、一つひとつ違った形をした道端の石のように、見る角度によって全く別の物になるような気がします。

 

“哀しみで心がつぶれてしまいそう。”

そういう時、哀しみの大きさの全容は見えていないのかもしれません。

 

本当に「あ~。哀しいんだ。」と気付いてから、自分の気持ちに向かい合うまでには随分時間がかかるのだと感じます。

 

思わず涙が頬をつたう時

「大丈夫、大丈夫。」

そう言って込み上げる哀しみを、心の奥に押し込んでなかなか向かい合えずにいました。

それは、生活を筒がなく過ごす為に選んだ行為です。現実の出来事や人と向き合うだけで精一杯だった自分を守る為でした。

崩れていく自分を想像しては、恐れて自分の感情に向き合うことを許せなかったのです。

 

哀しみと共に

随分時間がかかりましたが、ひとり静かに時間を過ごすことを自分自身に許すようになって、哀しみに気付くようになりました。

 

ひとりになるのは容易だと思っていました。それが、パソコンや携帯、ラジオやテレビとの繋がりを全て断ち切るのは以外に不自由な気がするものです。

そして、誰にも会わず、話さずに居るような時間をもつようになるのにも結構時間を要しました。

家族のコンディションやアニバーサリーの為のスケジュールは最低限。

友人とのおしゃべり。

知的好奇心。

それらをコントロールするのが第一歩になりました。

ある意味で、とても孤独で苦しい作業です。

 

それでもゆっくり時間をかけて、静かな空間に慣れていきました。すると、こんな感覚が浮き上がってきたのです。

心の中にある一つの哀しみを拾い上げ、手にとって眺め、そのものと共感し、掌の中で温めたり磨いたりしていくような感覚です。

もともと自分自身の中に生まれ出たものなのですが、最初はもて余したり痛みを伴ったりすることに違和感を覚え、なかなか集中することができませんでした。けれど、少しずつ自分の感情との付き合い方に慣れていきました。

時間を費やすうちに、だんだん穏やかな気持ちになって目の前が明るく見えるようになっていきます。

 

そうしている間も日常は普通に流れていき、最低限に決めた人との時間も社会の一員として過ごします。

台風も…。我が家の上を通りすぎていきます。

 

暫く穏やかな時間が流れているかと思っていると、また何かの拍子にスイッチが入るような事が起きて、突然溢れる哀しみに向き合います。

何度かそうしているうちに、哀しみだと思っていた感情の中に沢山の要素があることを自覚しました。

哀しい中に(落胆)(喪失)(怒り)(不満)(不安)(敗北)(後悔)etc.

と、言った様々な要素が混ざり合って存在します。そのままだと純粋な哀しみを感じづらい状態です。

絡んだ糸をほどくように、時間をかけて一つひとつ感情に向き合いながら純粋な哀しみを見つけます。見つけ出した哀しみを拾い上げ、眺めて大切に扱うようにしていきました。

そうすると、不思議なことに自分の中の哀しみを見つけ易くなっていきました。感情を取り出して扱うのが億劫ではなくなっていきます。

繰り返しながら哀しみと言う感情自体が軽く明るくなっていくことを知りました。

 

哀しみが輝くとき

 

私の哀しみは私の人生にとって、とても大きなものでした。

初め、その哀しみが癒えることはない。と、思いました。

それなのに、癒えてしまったら全てが変わってしまうような不安を抱いていました。

だから、哀しみにしがみついて、そのままでいたいと思っていたのです。

 

いろいろな人に逢いました。

様々な事が起きました。

時間が経ちました。

 

そして今が在ります。

 

まだ途中。そんな気がしています。

哀しみは無くなることはありません。

それでも、哀しみが大切な思いへと変化することを知りました。

私に訪れた哀しみは、私だけに許された経験です。

だから、

誰かの哀しみを察することしかできません。

誰かの哀しみに寄り添うことしかできません。

 

そこから一筋の希望の光を見つけるのは、

哀しみを抱えたその人だけです。

 

時には一人になって、感情の糸をほどいてみてください。

それは、あなただけができること。

でも、絡まったままも、ほどけたあなたも

かわりなくあなたは大切な存在です。

 

あなたの哀しみが

いつか大切な思いへと

変わる日がきますように。

笑顔の明日がくることを

お祈りしています。

 

 

過去の記事を載せました。

読んで頂けたら幸いです。

 

 

marymateria1113.hatenablog.com

 

 

 mary