あなたへの手紙・日向真理愛

未完成の人生を生きる私が「あなたに会えてよかった。」そう手紙を書きます。

あなたへの手紙*楽しくなければ…。

 

独り言

 

或る人の口癖。『楽しくなきゃ…。』

 

何故そういう境地に達したのか

聞いておけば良かった。

 

彼のことを私は少ししか知らない。

言い換えれば彼の生きている時のことを

私は殆ど知らないのだ。

 

たまに家に居るときには  良い家庭人として

良き父  良き夫でいてくれた。

けれどプライベート?のお付き合いには

家に居るより 

遥かに沢山の時間を費やしている人だったから

 

私の知らない楽しみは

他にも沢山あったに違いない。

 

そして  そんな楽しみや  生き方を

いろいろ聞いておく前に逝ってしまった。

 

居なくなって  がらんとした我が家を

時折り訪ねてくれる人達が

『良いことばかり思い出す』と言ってくれる。

そんな人ばかりではないのだと…。

そんな人が遺して逝った

楽しくないと駄目な気持ち。

楽しめなくちゃ駄目なのだということ。

 

やっと少し解りかけてきた。

そんな気がする。

 

 

何をしても  何処にいても  誰とでも

悦びが感じられるように生きることは

以外に難しい。だけれど 

そう心がけていると

案外  悦びを見つけられるような気がしてくる。

 

さて、楽しさとは…。

ずっとお腹を抱えて笑っているようなこと?

ではない。

誰とでも上手く合わせて生きること?

でもない…。

・・・ような気がする。

 

ちょっとした食い違いや

上手くいかないことは何処にでも幾らでもある。

彼が順風満帆に人生を送っていたか…。

そんな訳ではなかった。

不器用だったし  頑固だった。

だから口をきかない相手だっていた。

それは  自分に正直だったから。

 

それでも  同じフィールドの上では精一杯

誠実に相手を思いやることができたから

そんな自分を好きだったのだろう。

そんな仕事のやり方も

そうせずにはいられなかったのだろう。

人に対しても  楽しく繋がる人だった。

 

目の前のことに  精一杯向かう楽しさを

知っていたのだと思う。

そして人と共に和を広げていく人だった。

・・・ような気がする。

 

『楽しくないと駄目なんだ。』

それは  空から響く贈り物。

そんな境地に  彼の年になるまでに

辿り着けるだろうか…。

彼の年は止まったまま。

私の年が毎年増えていくだけだから

今年もまた一つ  彼の年に近づいていく。

 

見える景色が同じだけ  見えたらいい。

本当の意味で『楽しくないと駄目』なことを

知れたら良い。そう思う。

 

いつか  答え合わせをして

ニッコリ笑って頷いてくれる

そんな夢くらい見ても良い?

筈なのに…。

 

今日も  楽しく目の前に向かう練習中。

この幸せを胸に

あなたの幸せをお祈りします。

mary