ささやかなことが好き
それは
ささやかなことの中に
無限の世界を感じるから…。
そして そこには
確かさが有るから…。
けれど こんな風に感じるようになったのは
ほんの最近のこと…。
それまでは 頑張ることに一生懸命で
ささやかなことなんて
全く目に入らなかったから…。
＊＊＊
澄んだ秋晴れの 柔らかな風が吹く日
周りには ずっと音が響いています
風がどこからかやって来て
此処を通り過ぎる 僅かな間に
木の葉の落ちるのを助けたり
小さな種が弾けるのを促していく…。
枯れた草には
もう土に帰っても好い時期だと
そっと撫でるように寝かせていく
それから 静かな呼吸のように
往ったり来たりする気配
それがとても心地好く響くから
つい 耳を傾けて
心を寄せて時間を過ごしてしまいます
そうしたら わたしも
ささやかな世界と一つになって
穏やかで居られるような気がするのです
そんな時 思い付いて
押し入れの奥に し舞い込んでいた
木のまな板を日に当てて
同じ風に乾かしてもらいます
それから 記念に頂いた器を見つけて
過ぎし日のことを思い返して
涙があふれてきたりします
・・・etc.
そんな ささやかな小さなことに触れ
その中に広がる世界を見せてもらって
それは 掌に在ったものだけど
調えて磨いたり 手当てをしたら
今までよりも もっと素敵な
宝物に変わってしまうのです
それは 我が家に眠る
何年も寝かせて 熟成された
琥珀色に染まる梅酒のように
何もかもが含まれていて
それなのに ただその物であるだけの
豊かな ささやかな世界です
そうして 目の前の世界が輝いてしまうから
有り難くて仕方なくなるのです
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・これからは
宇宙旅行がうたわれて
地球の外や 思う所へどこにでも
誰もが行かれるようになるかもしれない
それから 抱き締めるのは
人が思い通りになるよう創った
可愛いもので
メガネを掛けたら仮想なのに
リアルっぽい世界が広がって
その中の世界だけで暮らす日が
いつか来るのかもしれない
・・・けれど 今は
ささやかなことが好き
確かなことが好き
どうにもならないことに
それでも足掻いて 諦めても
ささやかなことなら乗り越えていける…。
そんな 自分と笑い合って
小さな命として 生きていることが
今は 好き…。
それは 誇れるようなことでなく
それは 認めて貰うことでもなくて
ただ この胸に
幸せが溢れだすだけ…。
そして 生まれてきたことを
喜べるような自分のことや
生きているだけで
有り難いと思えることを
目の前に現れた
ささやかなことが知らせてくれる
そんな毎日を送るだけ…。
空を見上げるのが好き
星を見つけるのが好き
日に当たるのが好き
風に吹かれるのが好き…etc.。
そうして 大好きな世界にいたら
誰と居ても そこに
ささやかな世界を見つけて いつでも
喜んで居られるような気がしてきます
今 目の前に現れているのは
どんなことですか？
ささやかな小さなことが
見つかりますように…。
秋の日の青い空の下
同じ世界の片隅で
離れていても 心は共に…。
あなたの幸せをお祈りします
mary
