あなたへの手紙・日向真理愛

未完成の人生を生きる私が「あなたに会えてよかった。」そう手紙を書きます。

あなたへの手紙・生まれて

 

知らせ

ある強い雨☔の降る夜

訃報が届きました。

ご近所の高齢の男性が

亡くなったお知らせでした。

 

長い間、この地域に住んで

家族と共に人生を過ごし

穏やかで、無口で、笑顔が素敵な、

夫で、お父さんで、お祖父ちゃんです。

ひ孫ちゃんに恵まれ

植木の手入れがお得意でした。

余暇にはお仲間と囲碁を楽しんだ

そんな豊かな人生を送ってきた

90歳の人生が閉じられたのでした。

 

本当の気持ち

ご自宅へお悔やみのご挨拶に

隣家の皆様と伺います。

 

ご遺族のお気持ちをよく聞いてみます。

 

葬儀について。

家族葬で送られるとお聞きしましたが…。

◎お付き合いの全部をお断りになるお気持ちですか?

◎お気持ちある方からの御厚意を受け入れる気持ちはあるのでしょうか…。

言葉を選んで、失礼がないように

気をつけながらお聞きしました。

 

ご遺族からのお答えは…。

大きなご葬儀をされるつもりがないだけで

*自治会回覧板での訃報のお知らせも

*ご葬儀への参列も

*御厚志も

お許し頂けるということでした。

 

大切な家族をうしなうことに慣れている人はいないのです。だから、葬儀までの準備はほとんど解らないことばかりです。たった一度の大切なことなのに、それでもそのまま進んでしまいます。

私のような隣人にも

自治会への連絡や回覧板を回すことや

ご葬儀に参列すること。

できることはありました。

 

よくよく聞かないと

本当のところは解りません。

 

周囲ができるのは、

ご遺族の意志を尊重すること。

 

社会の動きに影響を受け

亡くなった人の送り方は多様化していきます。

遺されたご家族のご意向が優先され、

できるだけ傷つくことがないように。

亡くなったご本人が生前残された意志、

望みが優先されるようにする。

それが大事なことだと思います。

 

時代の流れが変えていく葬儀の形、

それを肯定する一方で

変わらないでいたいのは

哀しみに寄り添う自分の気持ちです。

人、一人の人生が終わった時

周囲に暮らす人ができることは

その人の立場や気持ちで違います。

 

立場の線を越えないように注意して

遺された人が、

やり残して  やりきれない思いを

抱えてしまわないように

耳を傾けて  声を聞き

声を出して  伝えます。

体を使ってできることを

邪魔にならないように  行って

その時をそっと通り過ぎます。

 

関わる立場は隣人として、親戚として

その時によって違っても

させて頂ける範囲で行っていく。

ただ、それだけです。

 

人の最期の贈り物

誰もが生まれ来て

その一生を生き抜いて

死を迎え去っていく 

長くても、短くても

みんな通っていく道です。

 

誰にでも起こる当たり前なこと。

自分の身近に起きてみて

「そうだった」と感じます。

 

いつか自分が去る日のことを

初めて実際のこととして感じます。

 

人の不思議

生の不思議

死の不思議

 

生きるものは

生きて此処に在るからできることを

素直に行うことしかできません。

 

そうすることから感じとる

亡くなった人が知らせてくれるものや

その時を共有した経験は

計り知れないくらい大きいのです。

 

亡くなった人を中心に周りを囲む人々が

少しずつ力を出し合い  思い合うことで

美しい空間が生まれます。

 

実は、思い合った分だけ  

目に見えない頂きものが

沢山あるのだと思います。

 

今まで生きて来たから知れること

今、生きているから感じること

それらを実感する瞬間は

人の死以上のものはないのかもしれません。

 

社会の中で

人の関わりが稀薄になったと言われます。

だからこそ、形は変わっても

向き合うことを大切に

寄り添うことを忘れずに

普通に暮らしていたいと思うのです。

 

今日在る私ができること

私としての役割に真っ直ぐに

向かわせてもらえることに感謝します。

 

亡くなった人が

遺された人が

安らかに穏やかでありますように。

ただそれだけを心からお祈りします。

 

 

以下に少し前の記事を載せます。

こちらもお読み頂けたら幸いです。

 mary

marymateria1113.hatenablog.com