我が家には ３０年ものの梅酒が
飲んでくれる主を失って眠っています
梅が有名だった頃の名残りですが
きっと 口を開ければ芳香な香りがして
琥珀色になったアルコールは
深く好い味に 熟成されていることでしょう
まだ開ける気にはならなくて
暫くはそのままに…。
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果実酒のように
口にするものだけではありません
程よく熟成することは
味わい深いものなのだと思います
例えばそれは
言葉のように…。
何かを経験して 味わって
様々なものが自分の中に流れ込み
時間をかけて熟成して
事実だけを説明した
上っ面の言葉ではなく
時間をかけて
コトリコトリと揺すられたり
自分の中に有るものと混ざりあったりして
ある日自然に 当たり前に
スルリと口から出てくるようになるまでは
どんな風になるか・・・。
果実酒のように
開けてみるまでのお楽しみです
ミヒャエル・エンデの『モモ』では
主人公のモモが言葉を熟成させるのには
１年を費やしたのだと書かれています
勿論 お話の世界のことですが…。
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熟成には時間を必要とします
ファストフードやコンビニや
冷凍食品をレンジでチンするのとは
少し違った流れの時間です
生き物が営みをする時間の流れの中では
直ぐできることは 多くないのです
その代わり
蓋を開ける時の期待にふるえるワクワクや
深い深～い味わいのある
素敵なものに出逢えるかもしれません
でも 置き過ぎてしまわぬようにご用心
忘れずに 時々転がしながら
熟成を待つのです
それは なんとなく子育てに似ています
それも 大きくなってからの子育てに
似ているような気がします
時々伝えておきたいことを
ポツリポツリ言うのです
いつか必要な時になる時には
根付いていることを夢に見て…。
それは とても楽しい時間です
熟成された果実酒の
味見はできるかもしれませんが
子育ての 遠い未来は見られない
大きな大きな お楽しみです
熟成の時間は たぶん沢山あります
心の中に熟成するものが
見つけられますように…。
雨上がりの庭から聞こえる
コオロギの鳴き声に耳を澄まします
友人の暮らす空の下
大地が無事でありますように祈ります
秋の気配を漂わせる 大地の片隅で
あなたの幸せをお祈りします
mary
