悲しみは 何処にでもあって
悲しみは 誰にでも訪れる
けれど 抱く悲しみは此所に
誰かや 他のものや
悲しみ以外になることはない
心に浮かび上がった悲しみを
見つけて掬いとったら
悲しみは現れて唯一になっていく
心の中で悲しみは磨かれて
時と共に彩りを増していく
それは 生きているから…。
次々に出逢う時の中で
何かと結び付いたり
削られて形を変えたりして
悲しみそのものも様々な景色を
造り出していくのかもしれない
同じ悲しみは一つとして無いから
どれもが心の中に
居続けていることを感じるけれど
削られて澄みきって
あらゆるものを写しながら
豊かな世界の一部となっていく
時々現れて 一瞬『ここにいる』と
主張することもあるけれど
それ以外は 鎮まって
唯 悲しみになっていく
全ての中に
その悲しみが 唯悲しみとして
滲んで流れ出していく
ある日には
再び似た悲しみが
生まれぬように用心し
ある日には
悲しみに知らん顔しないことを
心に刻むかもしれない
そうして繋がれた時のなかで
彩りを増し 溢れ出し
世界と共に輝いて
もう 周りの誰にも
悲しみには見えはしない
悲しみは
美しい悲しみに
他にはない悲しみに
心と共に変わっていって
唯 悲しみは悲しみとして
誰かの中で めぐみとなって
光を放つかもしれない
悲しみは何処にでも
悲しみは誰にでも訪れるから
何処か遠くではない
此所に在る
悲しみを感じたら
それは めぐみかもしれない
悲しみを抱く心には
暖かく降り注ぐ陽射しと
爽やかに吹き抜ける緑の風
それから
悲しみを 悲しいと歌う歌
・・・そうやって少しずつ
悲しみと生きることを知って
この同じ星に居る誰かの悲しみが
いつか めぐみとなりますように…。
若葉の萌える同じ世界の片隅で
あなたの幸せをお祈りします
mary
