花火
花火は真円に上がることは稀なのですが
それでも 幾重にも円が広がっていく様子は
まるで曼陀羅のように見えて
花火を見上げながら心が震えます。
あっという間に
火花が美しい模様を空に描いて
あっという間に
違う形へと変化して
あっという間に
漆黒の闇の中に煙と化していくのです。
その様子は《空》の体現をしているようで
冷たい空気も気になりません。
追いかけっこをしながら光が舞って
それぞれの形を創る音が重なっていきます。
『辛すぎるからもう見ることは無いだろう。』
そう思っていた花火に
辛い思い出を重ねるのを今日限り止めにします。
ただ 美しさに酔いしれて
流れる時間の中で味わいます。
痛みは 流した涙によって消えていきます。
美しい曼陀羅の内に自分を置いて
一オクターブ高いキーの自分のことを
思い出します。
寒さはスキー場に似て
この二時間の花火観賞を
何時まで味わえるのか分かりません。
風邪をひいてしまったことだって
吹き飛ばしてしまう程
今年見た花火に感謝しています。
明日からは
花火を見ることが 悦びだけに変わります。
過去の辛い思い出も 全てをひっくるめて
ただ美しいものとして感じます。
痛みの伴わない経験が
自分を高揚させて磨いていきます。
私の中の幸せは 心の内側で
花火の彩と音によって
目を覚ましたようです。
１１月２３日恵比寿講煙花大会
空気の澄んだ空に
一段と冴えた光を見つけられたら
豊かな明日を連れてきます。
あなたが幸せでありますように…。
mary
