暖かい陽射しを受ける縁側で
遠い日の思い出が蘇る
遥か昔 幼稚園の唯一の友達と
泥団子を作った日のこと…。
まあるく まあるく
掌の上で転がして
ひたすらに転がして
綺麗な球になるように
同じ大きさになるように
泥団子が崩れぬように
真っ黒になって作った日のこと
思えば心もコロコロと
まあるく まあるく転がして
掛けて挫けて へこんんだり
出っぱって トゲトゲしても
あちこちにできた凸凹でこぼこを
ヨッコラショッと転がして
まあるく まあるく転がしていく
心も土も
心で土だから
他のものにはならないけれど
いつかまあるく繋がる未来へ
大切に大切に
コロコロと転がして
初めは歪
だから まあるく
コロコロと転がして
まあるくなったら
楽しくて 嬉しくて
コロコロ笑って
初めは未熟
だから 加減が分からずに
力みすぎて 転がす前に潰れたり
そっとしずぎで 崩してしまう
そうして 失敗しながら
それでもコロコロ転がして
揺れながら
ちょっと寂しくてなって
揺れ動いて沈んでも
またゆらゆら揺れて
ちょっと悲しくなっても
まあるくまあるく転がし続ける
そうやって ちょうどよく
まあるく まあるく転がせたら
目の前の世界は春の日に照らされて
キラキラした生き物たちも
ゆらゆらして
そうして サワサワと
時々ゴーッといって吹いていく
春風が渡っていき
青空をバックにした木々たちが
煌めくように若葉をゆすって
始まった春の日が 世界を
コロコロと転がして
まあるく まあるくなっていく
一人一人の周りに広がる
シャボン玉のような
まあるい光に守られていく
身近に土が無くなって
循環する世界を想像し難くても
ちゃんと世界はまあるく繋っていく
この世界の片隅で
暖かくなった春の日に
あなたの幸せをお祈りします
mary
