あなた（大切な人）が
遺していったもの
それは 目を見て告げた
ありがとうの響き
あなたが遺していったもの
それは あなたによく似た
命の欠片
あなたが遺していったもの
それは あなたの掌の
穏やかな温もり
あなたが遺していったもの
それは あなたの後ろから
見えていた景色
あなたが遺していったもの
それは 会いたい人に
いつか会えなくなるという実感
あなたが遺していったもの
それは…。
etc.
etc.
etc.
時々こうして
この世界を見回して
あなたの形や温もりが もう
何処にも見つからないと実感します
その悲しみや 寂しさや
愛おしさや 喪失etc.は
わたしの道に
与えられた贈り物
全てはうつろいゆくことの
儚さに怯えながら
今在ることを
尊いものであるように
大切に 大切に掬います
見るもの聞くもの全ての中で
全てと共にあなたを映し
万華鏡を覗いた時のよう
形を変えながら
目の前に輝く世界
確かに あなたを含んで
映し出します
＊
大切な人を亡くす時
悲しみを染々と味わえるのは
ずっとずっと後になってから…。
だから遺された人には
生きる時間が宝物
悲しみを抱く
大切な誰かを想う人として
過ごすことをゆるされていきます
毎日沢山の命が失われ
沢山の遺された人たちには
悲しみの時が続いて
喪った命は戻らないことや
明日があるのは奇跡だと
知らせていきます
そうしてこの瞬間の確かさに
別れた存在の全てを感じて
癒されていきます
沢山の悲しみは
無くなりはしないけれど
大切な人を心に抱いて
悲しみと共に生き
この身の内に
神様仏様
そしてあなたを感じたら
《わたし》を愛し 尊んで
あなたが遺してくれた
沢山の欠片と共に
何気ない日常を暮らします
悲しみは
無くなりはしないけれど
嬉しいことも
楽しいことも
喜びも
そのままに…。
遺したもの
遺していくものが
混ざり合い
そうして過ごす今日の日が
輝く時を見つけます
明けない夜はないのです
変わりゆく景色の中で
同じ空を見上げながら
この世界の片隅で
あなたの幸せをお祈りします
mary
