幼い頃に読んだお話の世界
一人では抜けない
大きく大きく育ったカブを
通りかかった人達が
次々に助けてくれて
みんなで声を合わせて
『うんとこしょ。どっこいしょ。』と
引っ張って大きなカブは抜けました。
だっただろうか……？
その『』に
節をつけて読むのが
上手だった男の子は
卒業を待たずに転校し
あれから会うことはなかったけれど
今も何処か この同じ空の下で
元気でいるのだろうか
彼はジャングルジムの
てっぺんから飛び降りて怪我したり
思うことを 思うように話すのが
とても苦手な人だった
それなのに 国語の時間
お話しを面白く読むのが
とてもとても上手かった
面白いのは
軽やかな気持ちになれて
教室には笑いの声が広がっていく
・・・さて 今は
重いものを持ち上げる時
高いところに登る時
立ち上がったり 動き出す時…etc.
『よいしょ 』や『こらしょ』
『どっこいしょ』なんて
ひとりでに声に出ていて
笑ってしまう
面白い節をつけて読むのが
上手だった彼を思い出しながら
笑ってしまう
＊＊＊
本当かどうか定かではないけれど
かけ声は 体がその気（動く体制）に
なるから ちょっと頑張るのに
効き目があるそうだ
『よいしょ』と言って
お盆のお膳を支度して
『どっこいしょ』と言って
階段を昇り降りして
以前ほど旅をしなくなって
歩かなくなったから
かけ声や 記憶の中の同級生にも
力を借りて助けて貰って
自分の体と心 思考や気分
全てを一つに纏めたら
息を合わせるタイミングには
『どっこいしょ』と言ってみる
今日の日にできること
今日の日だからできることへ
笑いながら力を尽くせるように
暑くなった日の空は
晴れたり曇ったり…。
白や銀鼠の雲が踊りながら
青い空を渡っていく
お盆の終わる今日の日の
この世界の片隅で
あなたが健やかでありますように…。
今日の日に
小さな幸せがあふれていますように…。
mary
