両手を開いて 指を伸ばし
胸の前で掌と掌を合わせて
・・・それは
幼い頃から身に付いた祈りの形
手を組んだり 印を結んだり
胸に手を置いたり ひれ伏したり
掌を空に向けたり
祈り方は いろいろ
祈る対象も 祈ることも
各々
そして 祈るか
祈らないかも 自由だけれど
掌を合わせて
祈りたくなるから
その都度 心を整えて
祈ることに向き合って
日々の暮らしの中に
祈ることが組み込まれる
時には心の中で
掌を合わせていたり
何処にいても いつでも
祈らないことを選ばなくなって
そう言いながら 忘れたりして
敬虔な仏教徒でも
一柱の神様を崇め祀ることもなく
宗教を学ぶこともなかったけれど
この国の この時代に生まれて
あらゆるものに神が宿っていると
教えられてきたことや
亡くなったご先祖様や親しい人の
冥福を祈ることが身近かになって
今在る暮らしに
ただ 掌を合わせて
感謝したくなるのかもしれない
祈り方は各々で
祈りたくなる時も
祈りたくなることも
きっかけは 人各々で
時に日常を壊していく
理不尽な成り行きや
気付かずに抱え込んだ苦しみや
痛みや哀しみを
どうすればよいのか分からない時や
情報が結んでくれる
直ぐ近くのもののように
地球の裏側に暮らす人々の
困難を知らされる時や
歌声が重なりあって
各々の場所から響く合唱が
一つの調和を生み出した時や
ユニフォームを泥だらけにして
投打する高校球児に
目を向けた時や
それから 生まれくる
小さな命の無事が
約束されてはいないと感じる時も…。
祈りは 掌と掌を合わせて
そっと静かな心持ちになって
今日の在ることに
今まで出逢ってきたことに
これから迎える世界にも
感謝して…。
祈りへ心を傾けていく
素直な気持ちそのままに
掌と掌を合わせるのは
何も持たなくても
何処にいても
誰にでもできる簡単なこと
感謝の気持ちを覚えたり
慈悲の心に目覚めたり
自分の輪郭がハッキリしたり
新しい発見が生まれて
驚くかもしれない
そんな風に 一日が
無事終えていくことに
感謝して…。
曇り空だから
十四番目の月には会えないけれど
空も大地も
穏やかでありますように…。
この世界の片隅で
健やかな日々でありますように
あなたの無事をお祈りします
mary
